「膝に水が溜まるのはなぜ?筋膜・姿勢・動きから見る“膝の炎症”の正体」
「膝に水が溜まっている」と言われたことはありますか?
整形外科などで水を抜いても、また溜まってしまう…そんな悩みを抱える方は少なくありません。
そもそも、なぜ膝に水が溜まるのか?
今回は、筋膜整体の視点から、その原因と対処法を“素人の方にもわかりやすく”お伝えします。
◆ 膝は縦の動きに強く、ねじれに弱い
膝関節は「曲げ伸ばし」といった縦の動きに適した構造です。
しかし、ねじれや横方向の力には非常に弱い関節でもあります。
たとえば、足首が硬いまま歩いたり、股関節がスムーズに動かない状態でしゃがんだりすると、膝が本来得意でない「ねじれる動き」を代償的に担ってしまい、関節内で摩擦が起こります。
この摩擦が繰り返されることで炎症が起き、結果として**水が溜まる(関節液が増える)**という現象に繋がります。
◆ 水が溜まるのは“火事に対する消火活動”
膝に水が溜まるのは、体にとって異常な現象ではなく、むしろ“自然な防御反応”です。
わかりやすく言えば、「火事が起きた際に消火活動として水をまく」のと同じ。
膝関節内で小さな火事(炎症)が起きると、それを抑えるために関節液(いわば“水”)が分泌され、腫れや熱を抑えようとします。
問題は“なぜ火事が起きたか?”であって、ただ水を抜くだけでは根本的な解決にはなりません。
◆ 痛みが出やすくなる身体の使い方
膝に炎症が起きやすい人には、共通する身体の使い方のクセがあります。例えば
外側重心(O脚気味)
→ 歩行時に膝の外側へ荷重が偏りやすく、膝の外側組織にストレスがかかります。
足首の硬さ
→ 可動域が狭いと、膝がその動きを代償しようとして過度に働きます。
ガニ股(外旋歩行)
→ 膝が外に開いたまま動くため、膝の内側の筋膜や靭帯に引き伸ばす力が加わります。
内股(内旋歩行)
→ 膝が内にねじれた状態が習慣化すると、関節の配列が崩れ、炎症を起こしやすくなります。
これらの姿勢や動きのクセが、知らず知らずのうちに膝関節へのストレスを蓄積させているのです。
◆ 筋膜整体でのアプローチ
当院では、痛みのある膝を直接強く押したり、無理に動かしたりすることはしません。
それよりも、膝を取り巻く足首・股関節・太もも・お尻周りの筋膜のバランスを整え、正しい動きができるように調整していきます。
たとえば
足首の柔軟性を出すことで膝のねじれを減らす
股関節の可動性を広げて膝の代償動作を防ぐ
太ももの前後・内ももの筋膜を緩めて関節への圧迫を軽減する
骨盤・足裏のバランス調整により重心の安定を図る
これにより、炎症の元となる動きのクセそのものを改善し、「水が溜まる」状態を防ぐことができます。
◆ まとめ
膝に水が溜まるのは、関節が自分を守ろうとする“サイン”です。
繰り返す膝の腫れや痛みには、炎症を引き起こす体の使い方や姿勢のクセが隠れていることがほとんど。
外側重心
足首の硬さ
ガニ股・内股などの歩行のクセ
これらを根本から見直し、筋膜のつながりを整えることで、膝への負担を減らし、水が溜まらない状態をつくっていくことが大切です。
「何度も水を抜いているけど変わらない…」そんな方は、膝だけでなく“全身のバランス”にも目を向けてみてください。