噛み締めが原因?顎関節症のメカニズムと整体でのアプローチ
日常のふとした瞬間に、無意識に奥歯に力が入っていることはありませんか?
以前の記事では「噛み締めと自律神経の関係」について解説しましたが、今回はその続編として、「噛み締めと顎関節症の関係性」について掘り下げてみたいと思います。
「噛み締めと自律神経の関係」についてはこちらをご覧ください
目次
■噛み締めと顎関節症の深い関係
顎関節症(がくかんせつしょう)は、顎の関節やその周辺に痛み、音、動きの制限などが生じる症状の総称です。
代表的な症状には以下のようなものがあります。
口を開けるときに「カクッ」と音が鳴る
顎の開閉がスムーズにできない
会話や食事で顎が疲れる
朝起きたときに顎やこめかみに痛みがある
このような不調の大きな原因のひとつが「噛み締め(クレンチング)」です。
噛み締めとは、食事中ではなく、日常の中で無意識に上下の歯を強く接触させてしまう癖のこと。
特に睡眠中や集中しているとき、ストレスを感じているときに起こりやすく、自覚していない方も多いのが特徴です。
■噛み締めが顎に与える影響とは?
顎の関節は繊細な構造をしており、少しのズレや負荷でも不調をきたしやすい部位です。
噛み締めを繰り返すと、顎関節や周囲の筋肉、靭帯に過剰な緊張がかかり、やがて痛みや可動域の制限を引き起こすことがあります。特に「関節円板(顎関節内の軟骨)」がずれると、口を開けたときにクリック音が鳴るようになります。
さらに、顎のバランスが崩れると首や肩の筋肉にも負担が波及し、頭痛や肩こり、耳鳴りといった二次的な症状を引き起こすことも珍しくありません。
■なぜ噛み締めが起こるのか?
噛み締めは以下のような要因で起こると考えられています。
ストレスや緊張:不安やイライラなどの感情が無意識に筋肉を緊張させる
姿勢の乱れ:猫背や首の前傾姿勢により、顎に余計な負荷がかかる
咬み合わせのズレ:歯列や噛み合わせが不均等な場合も影響
習慣的な動作:スマホやパソコンの操作中に無意識で噛み締めていることも多い
特に現代人はデスクワークやスマホの使用時間が長くなりがちで、知らないうちに噛み締め癖が定着しているケースが増えています。
■整体でできるケアとアプローチ
顎関節症の改善には、噛み締めの習慣を断ち切ることが第一歩です。そのためには、筋肉の緊張を緩めるとともに、正しい姿勢を保てるように全身のバランスを整えることが重要になります。
整体では、以下のようなアプローチが可能です
顎周囲の筋肉や関節の調整
首・肩・背中の歪みを整えることで姿勢改善
自律神経のバランスを整えるための頭蓋アプローチ
呼吸を深めることでリラックス状態を促進
特に、首の後ろや後頭部の緊張をゆるめる施術は、噛み締めをしてしまう根本原因であるストレスや自律神経の乱れにも作用します。
■セルフケアのポイント
ご自宅でもできる簡単なケアとしては
顎を軽くマッサージする(こめかみ~エラのライン)
姿勢を正す意識(骨盤を立て、頭が前に出すぎないように)
「歯を離す」ことを意識する(上下の歯は接触しないのが自然)
就寝前に深呼吸やリラックス法を取り入れる
こうしたセルフケアに加えて、体の状態を把握できるプロの施術を受けることで、より早く根本からの改善が期待できます。
■まとめ:顎の不調は身体からのサイン
「朝起きると顎が痛い」「口が開けにくい」「顎がカクカク鳴る」
こうした症状が続く場合、それは噛み締めによる顎関節症の始まりかもしれません。
噛み締めは自覚しにくい分、気づいたときには症状が進んでいることも少なくありません。早めに身体を整えて、負担を減らすことが、長期的な健康への第一歩です。
「ただのクセ」では片付けず、ご自身の身体の声に耳を傾けてみましょう。